ドイツのベルリンからレポート EU復興基金の合意成立 補助金と融資の割合・リベート交渉・ドイツもちゃっかり #102 ウィズコロナ時代のドイツ ※2020年7月21日時点

こんにちはキノコ意匠です。本日も動画をごらんくださりありがとうございます。

こちらのシリーズではニュースや公的機関の情報をもとに「ウィズコロナ時代のドイツ社会の変容」について記録していきたいと思います。

これまで定量的な経過を観察するための「ドイツ国内の現状の数値」の報告をしておりましたが、今後はこちらについては突発的に状況が変わった際に、データなどを用いて状況を確認するときに引用して行こうかと思いますので、今後は割愛して行こうかと思っています。
(独逸全土の陽性判明率などの週次レポートは残しておこうかと思っています)
ですので基本的にはドイツ社会で起こった出来事についてフォーカスをしていく形にして行こうと思っています。

7月21日(火)のハイライトは、

EU首脳会議、復興基金の合意成立 補助金と低金利融資の割合・リベート交渉など

です。

ドイツの公的機関・複数のメディアをソースに、原則データの確認ができる情報をピックアップしています。
また自分が撮影した一次情報については全てベルリンかつ自分の住んでいる地域の限られた行動範囲でのみの情報です。

EU首脳会議、復興基金の合意成立 補助金と低金利融資の割合・リベート交渉など

概要
先週末からブリュッセルでおこなわれていたEU首脳会議ですが、約90時間ほどのマラソン会議と言われる協議を終え、27国間で無事「復興基金の設立合意」が行われたということで…今日はそちらについて整理してみたいと思います。

おさらい
復興基金の規模…7500億ユーロ(約92兆円)
割当・配布条件…コロナの損害状況に応じてか、経済状況に応じてか
あとは補助金かローンか
→後半には返済不要の補助金と返済が必要なローンの割合についての協議と進んでいた

結果
わかりやすいどうてきインフォグラフィック
がARDの動画から見られたので引用します。

当初、5000億ユーロが補助金として、融資として2500億ユーロと考えられていましたが、これが協議により…

3900億ユーロが補助金枠、3600億ユーロが
融資枠となりました。

割当・配布
この復興基金の使用計画ですが、全体の70%は2021年と2022年に、30%は2023年に配分するということです。
2023年分の供与については2022年の経済状況に応じて再検討をする計画ということです。

さらに、新型コロナウイルスによる経済の低迷の穴埋めだけでなく、今後の気候変動やデジタル化対策に利用されることを条件にしていく考えてとのことです。

返済期間
返済は2027年から開始、2058年までに行われる予定ということで、オーストリアのクルツ首相が懸念していた長期返済期間の短縮は図れなかったようですね。
この返済期間の財務圧迫を防ぐために
EUはプラスチック税というものを2021年から導入することで、独自の収入源を担保するとしています。
さらに、デジタル税とCO2国境税といったような計画も策定する方針ということで、こちらは2023年までに導入予定ということです。

このCO2国境税は以前動画で少し取り上げたことがあるのですが、厳格な気候保護要件を満たしていない国からの輸入品への税金をあげるという話ですね。

ポイント
今回、多額の補助金には反対・融資で進めたいという意向を示していた、「セービング4」のオーストリア、オランダ、デンマーク、スウェーデンは、今回の復興基金の承認の見返りとして、リベートを増やすことで合意したそうです。
それにより、

各国が受け取るリベート(年間)
オーストリア 2億3700万€→5億6500万€
オランダ 15億7500万€→19億2000万€
スウェーデン 8億9900万€→10億7,000万€
デンマーク 1億9700万€→3億2,200万€

そして何気に緊縮財政派だったが、今回は補助金賛成派として180度転換したドイツもこの対象に含まれていまして、ただ金額としては36億7,000万€で変わりなしということです。
ただしこの首脳会議の交渉の過程で他の手段で追加資金13億€確保したと伝えられていて、その内容は、

ドイツは次の7年間の金融枠組みから「競争力や雇用創出を促進する」ことを目的に、
⑴東ドイツ地域のための6億5000万ユーロを追加で受け取り、さらに⑵6億5,000万ユーロが農村開発のために確保をするということです。

交渉上手というか、ちゃっかりメルケルさんというか…
ドイツはメルケル政権になってから財布の紐が硬いでずっときていただけに、今回セービング4と言われた国を除いて、イタリアやスペインなどを始め、この基金を主だって利用したいと考えているEUの国々にとっては、ドイツがセービング側に回ってないだけ御の字ということでしょうか。
そのためドイツはこの交渉の場でも強く出ることができたと…

メルケル独首相はフランスのマクロン大統領と二国で補助金賛成派でしたが
マクロン大統領は乗っかれなかった感じか、あるいはここは控えたということでしょうかね…

数字がモリモリ

ちょっと疲れが見られるクルツ首相(Twitter@sebastiankurz)

https://meta.tagesschau.de/id/146511/einigung-bei-eu-gipfel-historischer-tag-fuer-europa
https://www.merkur.de/politik/eu-gipfel-coronavirus-fonds-hilfen-news-rechtsstaat-merkel-kurz-rutte-macron-orban-rabatte-ticker-zr-13837830.html
https://www.tagesschau.de/ausland/eu-gipfel-faq-101.html
https://www.derstandard.de/story/2000118872062/eu-beitragsrabatt-fuer-oesterreich-groesser-als-erwartet
https://www.tagesschau.de/ausland/eu-gipfel-durchbruch-101.html

#キノコ意匠#EU首脳会議#復興基金

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