バス待つ人を川柳で笑顔に 東京・八王子市のバス停

東京・八王子市で、バスを待つ人たちに笑顔を届けたいと、二人三脚で川柳を作って披露してきた2人がいます。その思いを聞きました。

 八王子市片倉町のバス停には季節外れの暑さを表した川柳『猛暑日の コップ一杯 命綱』が貼られています。

 バス停川柳は、近くに住む田原勘意さん(87)と真次弘さん(75)が2013年から始めました。田原さんは「バス停でしゃべっている人がほとんどいない。みんな黙って待っていた。一言、あいさつでもすればいいのにと思うぐらい黙っている。それをいたずらしてみたいなという下心。川柳があれば『あら面白いわね』と会話になるじゃないですか。それが狙いだった」と当時を振り返ります。

 近くで本屋を経営していた田原さんは、バス停で待っている人たちを見て、何かできないかと考えました。そして、俳句を趣味にしていた友人の真次さんに相談し「バス停川柳」を始めました。田原さんは「400首も作っていると、真次さんの心情が分かる。だから、この『コップ一杯』も私の感じる1杯とは違うんだろうなと思う」と話します。真次さんが詠んだ川柳から田原さんが選び、毎週月曜日に新作が披露されています。二人三脚でこの取り組みを続け、川柳は2018年内に500句に達するといいます。

『清明の 朝日を浴びて 散歩する』
『すしに来て 孫はウニトロ 爺(じい)カッパ』
『赤い糸 妻の指から ほどけそう』
『パンツとは ズボンのことよと 孫が言い』

 実は初めての1句は、2013年に開催が決まった東京オリンピック・パラリンピックの心情を表した『七年後 元気でいるか 生きてるか』でした。田原さんは「その時『生きてるか』なんて、怖いこと言っていいのかと思いながら句を発表した記憶が残っている」と話します。

 2人の今後の目標は──『バス停で いつも笑顔を 届けます』

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