東京オリンピックの歌「この日のために(抜粋)」

題名:東京オリンピックの歌「この日のために(抜粋)」
選定:オリンピック東京大会組織委員会・日本体育協会・東京都
備考:ビクターステレオ新製品「パーフェクトVシリーズ」発売記念
製作:ビクター
注釈:「この日のために」「東京オリンピック音頭」のレコードは日本ビクターから発売しています(SVS-21、VS-693)

以下、裏面から
・世界の信頼に応えたい
”1964年に東京で会おう”
ローマオリンピック閉会式の夜、ローマのメインスタジアムの電光板に、このことばがあざやかに浮き出した時から、東京オリンピック大会が始まったのです。
”スポーツの国連”国際オリンピック委員会が東京オリンピック開催を議決、承認し、日本がこれを受託した以上、日本は国際信用にかけても、第十八回東京オリンピックを楽しく開催、ぜひ成功させなければならないと思います。
 オリンピックは国境を越え、民族意識を越えた、純粋な人間愛と、平和に満ちた祭典です。
 そして、1912年、第5回ストックホルム大会以来、世界各地で開かれるオリンピック大会には、日本はつねに招かれて、暖かくもてなされ、世界の人々は、日本スポーツ界の進展に心からの拍手を送ってくれたのですから、日本もこの機会に、世界の好意と信頼に応えなくてはなりません。

・ローマの場合 東京の場合
 1960年、日本と同じ立場にあったイタリーが、立派にローマオリンピック大会を成功させました。
 オリンピックの開催地に選ばれることは、国家にとって、大きな喜びであり、名誉でありますけれども、同時に、大会開催には、莫大な費用が要ることもまた、厳粛な事実です。
 ローマ大会では、トトカルチョの収益金が資金源となりましたが、日本には、こういう資金源がありません。
 しかし、それではこの費用を、どこから得るかという事は、日本国民全体が責任をもって考えるべき問題だと思います。
 もちろん、日本政府も、開催地である東京都も、東京オリンピック資金財団も、あらゆる努力を続けていますが、私たち国民のひとりひとりも、みんなで快く協力して、1964年10月11日から日本で開催されるオリンピックを立派に成功させ、諸外国の人々の心にも永久になつかしく美しい印象を残すような、すばらしい大会にしようではありませんか?

そこで 日本ビクターからみなさまに 一つの提案をさせていただきます
 日本ビクターは、東京オリンピック開催にささやかながらも協力したい念願から、先に、合唱付交響詩東京オリンピック、東京オリンピックの歌、東京オリンピック音頭の作詩・作曲を募り、みなさまから大きな反響をいただきましたので、重ねて、さらに、東京オリンピック資金財団後援のもとに、もう一つの提案をさせていただきたいものと存じます。
 それは、みなさまがた、ひとりひとりのお名前で、しかも直接みなさまに負担をおかけせずに、五千万円をオリンピックに寄付していただくという方法です。
 1962年1月10日から、1964年3月20日までの間に、みなさまがお買い上げくださるビクター製品に、点数を記入したカードをお付けいたします。
 あなたが、そのカードにお名前をお書きになり、東京オリンピック資金財団へご郵送くだされば、その点数分の金額を、あなたのお名前で、資金財団へ日本ビクターから払い込むという方法です。
 もし、目標額に満たない場合は、日本ビクターが残高を負担させていただきます。
 国民のみなさま、どうか、日本ビクターのこの心からなる提案に、ご賛同くださるよう、おねがい申し上げます。

※日本ビクター株式会社(にほんビクター、Victor Company of Japan, Limited)は、かつて存在した映像機器・音響機器・記録メディアを主製品とするメーカー。株式会社JVCケンウッドの子会社だった。2011年10月1日に株式会社JVCケンウッドに吸収合併され、消滅した。日本では、蓄音機から聞こえる亡き飼い主の声に耳を傾ける犬(ニッパー)を描いて“His Master’s Voice”と名づけられた絵を登録商標としていた。

※この日のために
鈴木義夫 作詞・勝承夫 補作 福井文彦 作曲・飯田信夫 編曲 歌:三浦洸一・安西愛子・ビクター合唱団

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